金融・フィンテック業界の展望(2020年)

金融はインターネット技術を最も適用しやすい分野だと言われてきました。実際、ネットやスマホの普及によって、金融業界の構造は大きく変わりました。

フィンテック

フィンテックとは、ファイナンス(金融)とテクノロジー(技術)を組み合わせた造語です。IT(情報技術)を使った新しい金融サービスや金融事業を意味します。金融は伝統的で保守的な「レガシー領域」でしたが、21世紀になって、情報工学の力が破壊的自由を生み出しました。既存の金融機関だけでなく、IT企業やベンチャー企業が参入しています。具体的な事業領域としては、キャッシュレス決済・送金、暗号資産・仮想通貨、ネット上で不特定多数から資金を募る「クラウドファンディング」などがあります。

市場規模が「5倍に」との予想

矢野経済研究所では、日本のフィンテックの市場規模は2022年度に1兆2102億円となると予想しています。これは、2018年度の5倍以上に相当します。政府が、スマホなどによるキャッシュレス決済を推進していることが、追い風となります。

キャッシュレス決済とは

キャッシュレス決済とは、現金を使わずにお金を支払うことを指します。クレジットカードやデビッドカードがその代表的な例です。JRなど鉄道会社の電子マネーも同様です。2010年代以降、スマホを使った支払い方式が急速に普及しました。スマホを店頭の読み取り機にかざして、決済する方式です。NTTドコモの「おサイフケータイ」はその先駆けとなりました。「ペイペイ」のように、スマホの画面に表示したQRコードを読み取る方式も増えました。QRコード方式だと、店舗側の初期投資の負担が軽いというメリットが指摘されています。

マイナポイント

日本政府は2025年までに日本のキャッシュレス決済の比率を4割にするという目標を掲げました。2020年9月、マイナンバーカードにひも付けたキャッシュレス決済を使うとポイントが還元される「マイナポイント」事業が始まりました。



スナップアップの【金融株】推奨銘柄の実績例(2020、2019年)

スナップアップ投資顧問の金融株の推奨銘柄の実績の一部です。金融機関のほか、以下の業種が対象です。

  • 金融系IT
  • 投資信託会社
  • 決済業務サービス
  • 投資顧問会社・投資ファンド
  • 商品先物
  • リース
  • ファイナス
  • 電子マネー
  • 仮想通貨・暗号資産
  • 住宅ローン適正診断
  • 資産運用コンサルティング、アセット・マネジメント
  • クラウドファンディング
  • クレジットカード

■ ウェルネット(2020年5月推奨)

業種 決済システム
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
657円
(2020年5月19日)
推奨後の高値 842円
(2020年6月10日)
上昇倍率 1.28倍
現在の株価 こちら→
市場 東証1部
(2004年12月、ジャスダックに上場)
ロゴ ウェルネット

決済系ITの大手

決済システム開発の大手。ネットやスマホでの決済サービスの仕組みをつくり、アマゾンジャパンのような通販業者に提供している。そのサービスの利用手数料を収益源としている。

札幌の燃料会社が母体

現在の本社は東京だが、もともとは北海道・札幌の企業である。北海道のガス・灯油販売会社「一高たかはし」(現いちたかガスワン、札幌)の子会社として1983年に設立された。

ガスの配送、検針からスタート

当初は、「一高たかはし」の電算業務を請け負うのが目的だった。社名も「西北石油ガス」と名乗っていた。主に親会社のプロパンガスの配送、検針などの事業を行っていた。

決済システムの会社へと大転換

1996年に、それまでに手掛けていたガス関連の業務を親会社(一高たかはし)に移管する。そのうえで、代金決済システムの開発会社へと大転換する。社名も「ウェルネット」に変更した。

コンビニ店頭で代金支払い

1997年、全国で急速に店舗を増やしていたコンビニエンスストアの店頭を代金支払いの窓口として活用する「コンビニ収納代行システム」のサービス開始する。通信販売などの請求書をコンビニ店頭に持参し、料金を支払うと、ウェルネットが商品を販売した企業にまとめて代金を支払う仕組み。インターネットで予約したチケットもコンビニ店頭で支払えウようになした。

航空券の購入も可能に

このシステムは当時として画期的であり、ローソンなどの大手コンビニが相次いで導入した。航空業界にも大きな変革をもたらした。システムを応用し、航空券をネットで注文した際、支払い予約番号を控えておき、コンビニに設置されたマルチメディア端末に予約番号を入力→バーコード引換券をレジに提示→代金を支払うことができるようになった。

携帯電話で「入場」ができる

さらに、この発展型として「ケータイチケットサービス」も開発した。2次元コード対応の携帯電話であれば、携帯電話をバーコードリーダーにかざすだけで、個人認証を行い、乗車や入場することができる。日本航空や高速バスなどで採用、実用化された。

「紙」と「電子」の2本柱

様々な新サービスの導入によって、請求書・払込取扱票など紙を使って代金請求および回収を行う「ビリングサービス」と、紙を使わず代金請求および回収を行う「電子ビリングサービス」の2本柱ができあがった。

圧倒的な王者に

とりわけ、コンビニ端末やネットバンキング、携帯電話などで電子決済を行う『マルチペイメントサービス』では全国に競合相手がいないほどの強力な王者になった。

2004年にジャスダック上場

2004年12月にはジャスダックに上場した。(なお、これに先立ち、親会社の燃料会社「一高たかはし」も2003年にジャスダックに上場している。)

2014年に東証1部へ

2009年に本社を東京に移転。2014年に東証1部上場へと昇格した。

スマホ決済アプリでも成功

2017年から開始したスマホ決済アプリ「支払秘書」は、地方銀行や電力会社、交通事業者への採用が加速。スマホによるキャッシュレス決済分野ではやや後発組となったが、航空会社やバス会社など輸送機関関連との取引実績が強みになった。

JRの新システムにも採用

2020年6月、JR東日本がインターネット乗車券申込サービス「えきねっと」を2021年夏ごろにリニューアルすると発表。ウェルネットは、この新生「えきねっと」に決済サービスを提供することになった。

「非対面・非接触」に強いIT企業

2020年のコロナ下では、「非対面・非接触」での決済システムを提供できるフィンテック企業・IT企業として改めて脚光を浴びた。また、発祥の地の札幌市で、新たな自社ビルの建設を開始した。


■ アストマックス(2019年5月推奨)

業種 投資顧問
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
268円
(2019年5月28日)
推奨後の高値 441円
(2019年9月11日)
上昇倍率 1.6倍
現在の株価 こちら→
市場 東証JASDAQスタンダード
(2012年10月上場)
ロゴ アストマックス


機関投資家向けの「投資顧問」

商品投資顧問業の大手。主に商品ファンドや投信を用いて機関投資家などの顧客資産を運用し、その報酬を得る。いわゆる「商品投資顧問業(CTA)」及び「証券投資顧問業」に属する。

主に商品先物に投資

自己資産を運用する事業(ディーリング事業)も併せて行っている。主に商品先物市場に投資している。具体的には、国内最大の商品取引所・東京工業品取引所の貴金属市場と石油市場(ガソリン・灯油・原油)を中心に運用してきた。

設立母体はエース交易

1992年に設立された。エース交易が主な母体となった。エース交易を含めた商品取引5社、銀行4行が出資した。

商品ファンド法のCTA第一号

1994年には国内初となる商品投資顧問業(CTA)の許可を取得した。商品ファンド法の許可を受けた企業の第一号となった。商品ファンドを組成する商品取引会社や銀行などから委託されて、売買の一任運用を行うようになった。

MBOで独立系へ

1996年、エース交易の関連会社から外れる。エースが保有する株式の大半を、役員および従業員が取得するMBOを行ったのだ。これによって独立系の投資顧問となった。さらに、1999年以降は商品投資販売業許可、証券投資顧問業登録となった。その後、ディーリング業も開始した。

商品投資顧問として初の上場

2006年6月に、ジャスダック市場に新規上場した。商品投資顧問業で初の株式公開だった。

元住友商事トレーダーの牛嶋英揚氏が経営

会社設立の初期から経営をけん引したのが、牛嶋英揚氏。牛嶋氏は1955年7月生。もともと住友商事で貴金属のトレーダー、チーフディーラー、チーム長として15年間勤務した。

東京貴金属市場の先駆け

トレーダーとしてはロコ・ロンドン貴金属市場で、日本で初めて根付け業務を行い、ロコ・東京貴金属市場の創設者の一人でもある。

年俸制などの改革

1993年、ヘッドハンティングによってアストマックスの経営者として迎えられた。就任後、「サラリーマンでは、トレーダー業は務まらない」として、設立母体のエース交易式の固定給制度を改革。年俸制を取り入れるなど給与体系を大きく変えた。

商品ファンド番付トップの常連に

この結果、トレーダーにプロ意識が芽生えてきた。意識の変化は運用成績にも表れ、新聞社による商品ファンドの運用実績ランキング「商品ファンド番付」の1位の欄にアストマックスの名前が頻繁に登場するようになった。


■ FPG(2019年6月推奨)

業種 節税型投資サービス
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
850円
(2019年6月4日)
推奨後の高値 1,167円
(2019年9月20日)
上昇倍率 1.3倍
現在の株価 こちら→
市場 東証1部
(2010年9月、ジャスダックに上場)
ロゴ ●

「節税」に役立つ金融商品を開発

「節税」に役立つ金融商品を開発・販売している。顧客は、個人富裕層や企業。

船や飛行機を企業にリース

提供しているのは、リース方式を使ったユニークな金融商品である。投資家から募った資金を使って、飛行機や船を購入する。それを航空会社や海運会社に対して、リース(貸し出し)する。毎年、手数料収入を得る。

貸し出し先は日本郵船、商船三井など

日本郵船、商船三井などが船舶等の貸出先である。船舶や航空機だけでなく、輸送用コンテナも主なリースの対象にしている。

税の繰り延べ効果

出資者(投資家)は、リース事業の損益を投資家自身の決算に取り込むことで税の繰り延べ効果を享受できる。つまり、節税につなげることができる。またリース物件売却による譲渡益(キャピタル・ゲイン)も得られる。リースアレンジメント事業と呼んでいる。

儲かっている中小企業が顧客

中小企業からの需要が旺盛である。多額の利益を稼いでいる企業や個人事業主が、節税効果を狙って出資する場合が多いという。ユニークなビジネスモデルとして評価されている。

住商リース出身の谷村尚永氏が創業

2001年に設立。創業したのは、谷村尚永氏。住商リース(現三井住友ファイナンス&リース)出身である。外資系リース会社の日本法人トップを経て起業。自ら社長に就任した。

当初の会社名は、有限会社ファイナンシャル・プロダクト・グループとした。2002年に有限会社FPGへ商号変更。2004年、株式会社になった。

会計事務所や地銀と提携

優れた金融技術と専門的な会計・税務知識を融合させた商品を開発。その商品の優位性を武器に、全国の会計事務所や地方の金融機関など独自の販売網を築いた。

2010年ジャスダック上場

2010年8月にジャスダックに新規上場した。同年、スタンダードチャータード銀行と銀行代理業で提携。富裕層顧客向けにプライベートバンキング(PB)関連の提案サービスを本格化した。

不動産小口化など多角化へ

2010年代前半には、多角化事業の不動産小口化も順調にスタートした。顧客ニーズに対応したさまざまな金融商品が提供できるワンストップ型ファイナンシャルサービス業を目指している。


■ メタップス(2020年6月推奨)

業種 オンライン決済サービス
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
778円
(2020年6月2日)
推奨後の高値 995円
(2020年6月3日)
上昇倍率 1.28倍
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市場 東証マザーズ
(2015年8月上場)
ロゴ メタップス

オンライン決済

オンライン決済サービスを手掛ける。通販サイトのオーナーが簡単に決済システムを導入できるサービスを提供している。商品名は「SPIKE(スパイク)」。サイト所有者はWEBページ上に数行のコードを実装するだけで、クレジットカードによるオンライン決済機能を導入できる。多数のネット取引業者に利用されている。個人事業主から大企業まで顧客層は幅広い。

2014年に開始

SPIKEは2014年に商品化した。月100万円までの決済額なら手数料ゼロ円という強気の価格設定だった。これにより、当初から多数の顧客を獲得した。決済額が100万円を超えた場合には4%の手数料を取るという設計。これで無料利用者分のコストは穴埋めし、収益化を図った。

2007年設立、2015年上場

2007年の設立。当初の会社名はイーファクター。2015年にマザーズに新規上場した。

スマホのアプリ収益化サービスも

スマホのアプリを収益化をサポートする事業が、もう一つの柱である。こちらのサービスは「metaps(メタップス)」という名前で、2011年に開始。社名にもこの商品名が採用された。


■ ソルクシーズ(2020年6月推奨)

業種 情報システム
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
669円
(2020年6月16日)
推奨後の高値 820円
(2020年6月26日)
上昇倍率 1.23倍
現在の株価 こちら→
市場 東証1部
(2001年7月、ジャスダックに上場)
ロゴ ソルクシーズ

金融機関向け情報システム

金融機関向け情報システムを手掛ける。コンサルティングから開発、構築、保守までトータルにサポートしている。

保険業界に強い

金融関連に勤務していたシステムエンジニアを多数抱えており、金融業界のノウハウが豊富。とりわけ保険業界に強い。生命保険と損害保険の会社に対して、ソフトウエアや情報処理システムを提供する会社として発展した。証券、信販でも実績豊富。401K新年金システムでも受注を重ねた。

富士通経由での受注

富士通グループと関係が深く、案件の多くを富士通経由で受注している。官公庁向けにも強い。

1981年に受託ソフトの会社として設立

1981年に設立。当初は「エポックシステム」という社名だった。当初は受託ソフトウエア開発を主たる事業としていた。

2001年ジャスダック上場

1998年にトータルシステムコンサルタントと合併し、「エポック・ティーエスシー」に変更。2001年に現商号に変更された。同年、ジャスダックに上場した。